空ゴト日和

本とゲームに埋もれた日々

11/30「薬の魔物」回顧録メモ(380-387)

薬の魔物の解雇理由」読み返しメモの為、 シリーズ最後までネタバレ注意。

シュタルト旅行、リーベル登場、巨大ぶらんこ、ホテルの夜。
リーベルの話は共感性羞恥で死にたくなるやつ。
改めて見ると、よくも生きてたなと。

(380)シュタルト
シュタルトは塩の魔物であるノアが贔屓にしていてノアの城もあるという。ノアがいかに街の人間に愛されているかという話も聞け、ノアは昔から人と混じって生きてきたんだと思わせるエピソード。暴れる狐さんは置いてきたわけだが、連れてきていたら大騒ぎだったな。

(382)リーベル登場

勘違いとはいえ、万象に対し、尊大な嫌味を言い放ってよく生きていたな案件。しかし、そうはいっても、ディノは意外に自分事では怒らないのですよね。こんな風なディノを見てるとかわいそうになってきます。でも、代わりにネアが怒ってくれたから。
リーベルは、登場キャラの中ではどちらかといえば味方サイドにも関わらず、人間サイドの闇側面というかわりとひどい事をする奴としての描写がしっかりあって、そのままだと嫌悪感を持たれるタイプなんだけど、反面ギャグテイストながらひどい目にもあってるので書き方のバランスがとてもいい。その描かれた方が、ちょっとアルテアさんぽいなと思った。忘れがちだが、アルテアさんはネア以外にはわるわるな面がかなり丁寧に描かれているのだ。これはウィリアムさんもそう。作者から悪側面を忘れるなと言われているみたいでとても好き。

(384)巨大ぶらんこ
ブランコに乗ってるネアがとても楽しそうで好きだ。こういう何気ない日常(ではないが)の風景でありながら、見ているこちらまで幸せになってくるような描写が本当に上手いと思う。

謝罪に来るリーベルさん。それでもディノは不思議そうに不快そうにしているだけだけど、ネアは怒り大爆発。

”あまりにも楽しかったらしく、ときめきがおさまらないのだろう”←ここ一爆笑したところ。ぶらんこで死にかけてるリーベルに対するネア様の台詞が最高の高。台詞選びが本当に素敵だし、”ぶらんこ”という序盤楽しさを表したキーワードでオチまで綺麗に締めていて物語構成まで本当にすごい。最高。全世界に伝えたい。つらい。

(385)ホテルの夜
ディノの変態性を信じていた頃のネア。珍しく良い雰囲気になりちょっと練習してみようかからの暗転。一夜明けて、ネアから「思ったより普通でしたね」と言われ大変しょんぼりするディノに、一体何があったのだ!!と当時荒ぶった私だったが、結局明かされなかったものだから妄想だけが捗るしかなかった。解雇理由だと、ディノとのいちゃつきシーンは、ありそうであまりないんですよね。なのでここは意外に貴重なシーン。ディノから男性性を感じるシーンがあまりないというか。その手のいちゃつき成分はほとんどアルテアさんが担ってしまっている。なんかもう、アルネアはありがとうございますと言うしかない。そして、使い魔さんは見ていた。

(387)劇作家カーライルは見ていた。
そんなディノとネアの様子を傍から見ていた劇作家カーライル氏の視点。外から見たネアたちの様子が見れる。こういうの大好き。もっとやって。一見、美しい男にかしずく平凡な女というカップルかと思いきや、男の方が女をご主人様と崇めているのを見て創作意欲を刺激され、後日の公演で大ヒットを飛ばすという話。そして、そんな自分の経験談を酒場で知り合ったとある青年に機嫌よく話すが、それは死者の王、ウィリアムさんだったという。
これも一つのお話としてまとまっていて大変良いお話だった。

ところで、私は基本、同じ本を読みかえすということをほとんどしない人で、今まで2回以上読んだ本といえば、京極さんの京極堂シリーズ、奈須さんの「空の境界」、上遠野浩平の「事件シリーズ」「ソウルドロップシリーズ」くらいだったので、ここに「薬の魔物」が加わるかと思うととても熱い。
上記作品を見れば世代がもろバレな上、有名作品ばかりで恥ずかしいのだけど、この年になってこんなに嵌れる作品に出会えるなんて思わなかった。