「薬の魔物の解雇理由」読み終わりました。
まだ、続きはあるとはいえ「解雇理由」は一旦終了としいうことで、まず一番に思ったのはこの素晴らしく面白かった物語をもう一度読み直したいという思いでした。
本当に面白かった。ここまで夢中になって読めた作品は本当に久しぶりで、こんな作品に今の自分が出会えたことが信じられないくらいです。しかも、とても長い。こんな私の理想のような作品が、世の中に隠れていたのなら、まだまだ名作がこの世にはあるのではと希望を持ってしまうくらいでした。
今、読みたてほやほやの中では思うことは、続きを読みたいことと、やっぱりもう一度読み返したいことと、いやいや、いい加減、他のこと、他の本のこともとそろそろと頭をもたげているところです。
そんな私の気持ちはさておき、少しくらいは作品についても。
まず、終わり方が、あまりに日常の延長上のような緩やかな終わりでとても驚きました。今までのことから、もっと何か特別な大きな出来事が起こり、それを解決して終わりかと思ったら、そこまでのことが起きるではなく、あくまで日常の中で、ネアとディノがとうとう結婚というか伴侶な関係になってみんなに祝福してもらい終わるという。余談ですが、伴侶な関係のアレ的なソレが大変詩的な文章だけで表現されているのが相変わらず作者様の素晴らしいところだなと思いました。とはいえ、謎的なものは残っているし、ここからどんな風にでも話が続きそうなので、実際続くわけだし、ここからどんな展開になるのか気になって、せめて「継続理由」の始めの方だけでも読まないと心が落ち着かないような気もします。
話戻り、再び作品について。感想メモで何回か言ってるように、アルテアがひたすら好きでした。初期は人に被害をもたらす冷酷で残虐な魔物として登場し、途中からネアを気に入って、気に入ってるからこそ殺しはしないが困らせたいその顔を歪ませたいといろいろ悪さをしてネアをも苦境に立たせる存在で、だからこそ、こちらが困らないようにと無理矢理”使い魔”という枠に押し込めることにして、だけれどネアは、その魔物の自由さ気に入っているところであり、手放したり、それならそれで執着されたり、最終的にはもう愛情を隠さなくなって、でもそんな色々があっても、根本的なところで、ネアにとってはディノが一番であって、アルテアもそこをわかっているからこそこの特殊な関係性がめちゃくちゃ好きでした。アルテアに関しては本当に一人で二度おいしいというか、初期の頃のネアに悪さをしていた時期のアルテアも大好きなんですよ。でも最終的に愛情深い一面を見せるようになった彼も好きなんよ。もう本気で好きで、私はこの世で一番好きなキャラクターというのがいて榎木津礼二郎とギルガメッシュというんですが、そこにこの度、このアルテアが加わったかもしれないです。
ところで、わりと私は、ネアがピンチになってぼろぼろになるのが大好きだと言っていたと思うのですが、最後の方だと、日常の延長上のような雰囲気で、やはり少し物足りないなと思ってしまいました。もちろんネアたち自身は、何事もなく日常を過ごせるのが一番なのだろうけど、何とか事件が起こって死ぬような目にあって欲しいななどと鬼畜な読者の一人として願ってしまいます。
最後の方は、駆け足で読んでしまい、感想も何も書けなかったんですが、これはひとえに感想を書くよりも続きが読みたい欲に私が勝てなかったそれに尽きるんですが、どうしたらいいんでしょうね。そして、何度も言いいたい。これは書籍化してくれるのでしょうか。アルテアの料理姿が見たいです(我欲の塊)。ネタバレ防止のためそこ界隈何一つ見てないのだけど、TOブックスさんにはぜひにぜひにお願いしたいです。