「薬の魔物の解雇理由」読み返しメモの為、 シリーズ最後までネタバレ注意。ゆっくり再読中。
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飛ばしてしまった回をちょっと溯り。
お風呂でいちゃいちゃ事件の後、辻毒の前。
アルテア視点。お風呂で致してしまった自分のことがちょっとどうだったんだと自問自答する場面。ここ、多分読者から見ても二人の距離が近すぎるんじゃない事件だったと思うので、そんな甘いわけないぞと釘を刺したようにも見えて、お話の構成としてもタイミング完璧だなと思った。
途中まではやれやれと思っていたことなのだが、ふと、脱がせて洗われても警戒一つしていなかった無防備さが鼻についた。
それは許容でもあるが、浅慮にも等しく、自分を手懐けたのだと考えているのであれば、愚かしいにも程がある。
これな、たった一文でアルテアさんの複雑な心中が表されていてホントすごいと思った。許容でもあるが(信用してもらって嬉しい)浅慮に等しく(誰にでもこうなのかという苛立ち)、自分を手懐けた(自分を下に見てるなら)愚かしい(プチ怒)。アルテアさんは、まじで基本この繰り返しなんよ。近づいて、でも向こうから近づかれたら突き放して、でも嫌われたくないから適度に優しくして、でも慣れ慣れしくされたらそれはそれでムカつくので意地悪するという。面倒くさいの極地。ディノというスーパー彼氏がバックにいて本当に良かった。
アルテアさん視点の地の文であれば嘘がないのだろうと思っていた初見時、そっかーアルテアはネアのこと気に入ってるけど、あくまでお気に入り程度で、ちょっと優しくした程度で懐かれたら嫌だなとか感じちゃうんだー、え、つまり仲良くなりたいのなりたくないのどっちなのと激しく疑問符でいっぱいだったのだけど、アルテアの内心って変わっていくのよね。この頃のアルテアの混乱具合がよくわかる。ここから段々と変わっていくのだけど、私はこの頃の面倒くさいアルテアが大好きなんですよ。
(422)辻毒事件の後、ダナエとカードの交換、バルバの準備。
ダリルから、ネアちゃん忘れてるかもだけど、高位の魔物は討伐対象にならないという話を改めてされる。私が忘れてました。この世界で、高位の人外が種族的な意味で人と対立してない理由の一つ。高位の存在が死ぬと街が丸ごと、下手したら国一つ吹き飛んでしまい、怨嗟の呪いで辺り一帯人が住めなくなってしまうという。なので何か被害があってもそこから追い出すくらいしかできない。これを初見時、そんなのやりたい放題とかにならないんだろうかとも思ったのだけど、意外にそうならないのが、この世界を知っていくとそのバランス感覚がすごいなと思ってしまう。
(423)バルバな会
アルテアさんが本格的に料理の魔物になってしまう話。
どういう経緯で、バルバ(バーベキュー)をすることになってしまったのがちょっと覚えてないのだけど(2回目なのに)ここからアルテア=料理人として定着することになる。アルテアが料理してて手が塞がってる中、ネアがアルテアにあーんして食べさせてあげるシーンがとても好きだ。今や、目と目で通じ合う(あれ取ってくれみたいな)関係だけど、この時は、ネアの行動にピタリと固まってしまうアルテアが新鮮でおもろい。
そして桜瀬さんの文章が美しい。
のんびりと交わされるお喋りに、自家製レモネードの入ったグラスの氷が触れ合う音、誰かの飲みかけの白ワインのグラスには木の上に咲き誇った水色の花が映り込んでいる。
桜瀬さんの文章が本当に好きで好きで、拡大コピーしてポスターにして壁に貼りたいくらい。
もうすぐ夏至祭という会話の中、アルテアからは、くれぐれも妖精から口付けたりされるなよ婚姻が成立するぞと言われ、ヒルドからは、魔物の血を取り込んだり装飾品を貰ったりしないように、と注意を受けるが、これ、どっちも自分がやってることなのですよね。アルテアはネアにほいほい口付けをするし、ヒルドは妖精の羽の粉や装飾品を渡している。二人とも自分が特別という意識が薄いので、誰にでもそんなことをするんじゃないぞとネアに注意してるのが面白い。
アルテアさんに口うるさく言われ、ネアにはおとーさんみたいだと言われるが、後におかーさんと言われます。
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今回、初めて引用を使ってみたけど、正直入れなくとも良かったかなと思ってしまった。本来あまり好きじゃないんだけど、原文見て!と思っちゃう。まあ、少しくらいならいいかな。