空ゴト日和

本とゲームに埋もれた日々

12/25「薬の魔物」回顧録メモ(415-418)

薬の魔物の解雇理由」読み返しメモの為、 シリーズ最後までネタバレ注意。ゆっくり再読中。

(415)辻毒と藤の館ミステリー

始まりが、連続殺人事件を起こしたであろう辻毒の呪いの捜索という、くすまもには珍しくミステリーめいた始まりで、当初とてもわくわくした記憶。実際はミステリーというほどではなかったのだけど、前半は、謎の女伯爵、不可解な死を遂げた女中とミステリー的キーワードも多く楽しかった。

(416)
人や妖精を食べる悪食の竜がおり、どうにかしてくれないかと女伯爵に依頼される。しかしそれはこの地に古くから住む者で、この土地の権利は入植の時期を基準としており、人間は一番遅く、先のいる竜の方が優先されるべき存在なので、人に被害があろうとも自衛して頂くほかないと。これは、この世界ならではの仕組みですごく面白いなと。他のファンタジーなどでは大体、人と人外は対立していて、どうあっても人は人以外を押しのけようとするのだけど、この世界はなんだかんだで魔物が支配している(魔物が神さま的立ち位置)ので、人は基本、その魔物たちを、利用か、共存をして生きていくほかない。

そして、ネアが名探偵だった。
このネアの人間観察眼の鋭さを活かした話ももっと見たかったなと。かつてネアは、復讐関連の潜入のため、表情に纏わる様々な事を学んだという。自分の嘘を隠すため、その仕草や表情から滲みでてしまう本音を隠すための鍛錬をして、今や、笑うなと思わば笑わずに、疑いを持たれる一切を排除し行動するこができると。ネアが実はすご過ぎて、普通のお嬢さんでは全くないのに、この手のものが活かせるシーンというのがほぼないというのが本当に勿体ない。もっと見たかった。

(417-418)
館ミステリーかと思ったら(違う)竜の話になっていた。
そして、ヒルドさんの話だった。ヒルドさんの壮絶な過去話が藤のシーからさらっと伝えられる。
くすまも界の最もやばくてかわいそう度断トツなのがヒルドさんなので、本当に本当に幸せになって欲しいんだよ。一族郎党皆殺しにされた挙句、死ぬことも許されず愛玩奴隷として女たちの慰みものにされ、大切な人を見つけてもその母親を殺さなくてはならなくなったり、しかも元凶の人は今ものうのうと生きていて、私はこれをいまだにモヤモヤと思ってるんだけど本人が仕方ないと今が幸せと思ってるならとネアと同じく納得するしかないが、いつか将来ネアが蹴飛ばしてくれることを期待していたのに、国に必要な存在だからとか国とか知るかよとか思っちゃうよえーん。。本当に幸せになって欲しい。今はちゃんと幸せだと思うけど、思うけどそれでも過去は変えられないので過去を想う度に悲しくなってしまう。

ところで、私の中でかわいそう度2位はウィリアムさんです。死にたくても絶対に死ねない死者の王。世界の終わりを見守る終焉の者。何があっても絶対に世界が終わるまで死ねないという、生まれた瞬間に自死を決行するも死ねなくて、絶望して、それでも今を狂うことなく生きてるのはそれこそ終焉の者だからなんでしょう。そして3位はエーダリアです。かわいそう度の方向性が違うけど、それでもエーダリアの子供時代は本当に壮絶だったし、そこから生き延びて自分の道を掴みとった。それなのに今、まるで平凡な一般人代表みたいな顔をして(剥がれつつあるが)普通の感性を持ってるのがすごい。

ちなみに、かわいそう度0なのがアルテア。ネアファミリーの中じゃアルテアだけ異質で、そこが良いのだけど、アルテアのことを考えても、一切悲しい気持ちにならないのがホント良い。好き。

藤の館ミステリーの話の途中で切ってしまったけど、何となくこれぐらいの文字数が良いと思うし、話の方向性も途中から変わるので一旦のこの辺で。