空ゴト日和

本とゲームに埋もれた日々

9/9 読んだ本「ボックス21」

楽しい作品を読んだ後は、本当に楽しい気分になって、嬉しくてふわふわして、そういう気分になるだけなのに、重い作品を読んだときこそ、何かを発散するために、書き殴りたいという衝動に駆られるのはなぜでしょう。

 

ボックス21 (ハヤカワ・ミステリ文庫)


相変わらずヤバい作品でした。読み終わった後に感じるのは悪が悪として裁かれない気持ち悪さ。デビュー作の『制裁』からしてそういう話だったのだけど、警察小説でありながら、犯罪を追い憎む正義の側が主人公であるはずなのに、裁かれるのは見せかけの悪だけでその奥に見える狡猾な存在は見逃されて、最後の最後に読者だけにそれが明かされるものだから、その気持ち悪さを抱えながら本を閉じざるを得ない。
本来、私はこの手のバッドエンディングタイプの作品は好きではないのだけど、こうも惹きつけられるのは作者の書く文章表現(翻訳が良い疑惑もあり)がとても私の好むものであるからだろう。それぞれの人物の心理描写を巧みに表現する文章力に、それ生かした物語の構成力。誰がどういう状況で、なぜこんなことを、どうしてこんな目にあってしまうのか、加害者や被害者、同情できるもの、できないもの、それぞれをある意味とてもわかりやすく表現されていて、物語の先の先が見たくてたまらくなる。
終わりはとても、気持ち悪く、我慢できないもの。それでも、この作者の作品はまた読みたいとそう思わせる。

私がこの作者の作品で初めて読んだのはシリーズ4冊目の「地下道の少女」で、実をいうと、今でもそれが一番面白かったかなと思うのだけど、それがあまりに強烈で、だからこそ、その前の作品を読んでみたいと思い、デビュー作である『制裁』から順々に読み始めたのだけど、思った以上にヤバかった(救いがない)なという思いが続いています。

 

まあ、だからといって、こういう内容の話が好きかと聞かれたら、決して好きではない。
なので、今は、軽い楽しい話が読みたい。

 

8/29 「薬の魔物」感想メモ~永続性の肯定

多くの物語には必ず終わりがあり、完結することこそ美しいとされることが多いように思います。また物語の世界の中でも、永遠はなく、全ての物事には終わりがあり、それまでをしっかりと生きるというメッセージ性が強く、”永遠”であることはどちらかといえば人の領域から忌避される意味を持たされる場合が多いです。しかし、この「薬の魔物」の世界では珍しく永続性を永遠を良い意味で描かれているような気がします。これは元々主人公が、死を救いと考える特殊な人生観を持っていて、大切な人々に出会うことによって、この世界でもっと生きていたいと考えるようになるという背景を持つことによるものなのだけれど、それでもほぼ永遠を生きる魔物と一緒に生きていくのだと決意するネアに、私は私の中の何かが肯定されてように思えて、とても胸にきました。

私は、ずっと物語は永遠に続いて欲しい、ずっと幸せであって欲しいと、ずっとずっと思っていて、それでも世間のほとんどの物語には終わりがあり、それこそが正しいと言われることが多く、例えあってもそれは悲劇とされる場合が多く、でも、現実に永遠などないのだから、物語にこそ永遠はあってもいいのではないか、ずっとそんな風に思ってました。いわゆる異種婚姻物語においても、人外と人間が結ばれる時、その寿命はなぜか人間側に合わされることが多く、なぜ逆ではいけないのかと思うことも多かったのです。

そんな中、「薬の魔物」の世界でも寿命問題があり、魔物の王であるディノはほぼ永遠(多分)の命を持っており、おそらく(断定はされてないが)その伴侶であるネアも同じくらい生きるのではないかと言われて、ずっと人としての”死”を意識していたネアが、大切な人が幸せでありこの世界に飽きて心が摩耗しない限りはずっと一緒にいます、とディノに伝えるシーンに、こういう幸せの形があってもいいんだと思えて本当に嬉しかった。否定的な意味での永遠ではなく、ずっとずっと幸せでありたいという願いの形が見えて、この「薬の魔物」の物語がどれだけ幸せに溢れた世界であるのかと実感しました。

 

そんなわけで、「夏休みと見知らぬ城3」読み終わりました。

もう何度目かの夏休み、指輪の中の避暑地に遊びにいき、躾け絵本に追いかけられたり、みんなでお料理を作ってわちゃわちゃしながら夜におしゃべりをするという幸せな時間のお話でした。アルテアさんが、躾け絵本に蹴りいれるシーンが想像したらかっこ良すぎてとても好きです。

本格的に残り話数が少なくなってきたので本当にゆっくり読んでいきたい。

 

 

8/21 「薬の魔物の解雇理由③」発売+web版「薬の魔物」感想メモ

「薬の魔物の解雇理由」3巻が発売されました。

薬の魔物の解雇理由3【描き下ろしイラスト付き】

3巻発売ありがとうございます!ありがとうございます!
本当に嬉しい。しかも、この巻までは作者様の加筆修正原稿ありだったのですね。本当に有り難い。けれど、できるのならば、4巻以降の発売も何とかして欲しいのだ。それで助かる命がある。本当にお願いします。
さて、3巻の内容は、ウィリアムとの出会いから、初めてのアルビクロム定例会と私が大好きな話が入ってます。ここから始まるアルビクロム。アルテアやウィリアムとの初めての愉快なやり取りが見れる楽しい回です。お二人の関係性を知る上でも欠かせないお話で、ここからでも既に仲の良い感じはあるものの、ネアとはまだ外側の友達という感じで、今では完全に内側の身内なので、ゼノやグラスとの探り探りの会話も懐かしく尊い。ディノとアルテアのやり取りはそこまで変わったという感じはなく、長く付き合いがあるだけにこの頃からざっくばらんな雰囲気はあるものの、ウィリアムに対しての、"友達じゃない"発言は今じゃちょっと考えられないので新鮮にすら感じます。後、ここにノアがいないのがとても、とても信じられない。「薬の魔物」という作品においてノアベルトの存在は一番の転換期だと思うので、早く来てあげて!という思いでいっぱいです。ノアという存在があることにより、エーダリアもヒルドも、ネアもディノもとても安らかになれたと思う。エーダリアは契約の魔物として唯一の相手を得られたし、いまやリーエンベルクの第一の守護者といっていいのではないでしょうか。ノアがみんなの存在によって救われたというのはその通りなんだけど、それでもそれ以上にみんながノアによって救われてるんだよ。と3巻の内容とは関係ないけどノア不在のリーエンベルクの存在に思いを寄せてしまいました。(だから4巻以降もお願いします。本当にお願いしますね!)

さてここからはweb版「薬の魔物」感想メモの続きです。

前回からまた大分間が空いたけど、現在の最新状況はグラフィーツの歌乞い関連がネアのお母さんとどういう関係なのかというあたりです。

本格的にネアの世界がこの世界の延長の先なのか微妙に違うのかよくわからないんですが、このもやもやはいつかわかりやすく解明されてくれるのでしょうか。

・記憶を失くして物語の世界へ

まさかの別軸として作品を立ち上げるレベルでの記憶なくしての再体験物語が斬新だったのですが、ディノ以外の全員が記憶ない状態だと当たり前ながらほぼ過去をなぞるだけのような形になるんですね。この状態のエーダリアとディノが一体何を話したのかちょっと気になるんですが、相変わらず見せてくない。エーダリアと他の魔物たちの関係性もかなり初期と変わりましたよね。記憶喪失イベントといえば、ほぼネアだけに起こることが多いのだけど、エーダリアも見てみたい。そして、アルテア。アルテアはネアの歌をしんどいながらも聴けるという。イブメリアの時も盗み聴きしてましたしね。また歌ってあげて欲しい。

・水櫃とジルクとの出会い

今週読んだ中では、かなり大きなイベントだったはずなのに既にあまり覚えていない。だから毎日感想をメモれと私は私に言いたい。水櫃事件はネアが最も苦しんだ攻撃だったたけど、アルテアやウィリアムが来てからは敵は一瞬でバラバラにされてしまったのであっけなさすら感じましたね。この作品において、間接的に、そこにいない敵には苦しめられても、そこにいてやっつけられるなら、あまりに一瞬でやっつけてしまうので、いわゆる”ざまぁ”展開はほぼなという。ゲスいこというと、敵が後悔し苦しむ姿も多少は見たいので、しかし、例の飾り針事件もそうだが、ここにおわすお方をどなたと心得るなんてシーンはなく、ネアを攻撃した途端相手はポスンと消されてしまう場合が多いので、この怒りをどこに向ければいいのだと個人的には思いながらも、ネアはそんな事気にしないので自分の心の狭さを感じてしまう。

・武器狩り、修道院

ディノは擬態のまま能力は制限された状態で、修道院に閉じ込められた。まわりは見知らぬ人も見知ってる人もいるものの、誰が味方かわかりにくい状態で過ごすことになるという、こういう話大好き。そしてここからまさかのグラフィーツと仲良くなる話でしたね。正直いうと、私は、作中においてわからないという状態がかなり苦手なので、個人的にグラフィーツに関してはもやもやがいっぱいです。アルテアも訝しんでいましたが、なぜそこまでネアに拘るのか、理由がないならないでいいけど明らかに何かありそうなので気になって仕方ないです。

現在、薬の魔物の書籍3巻が出たという事実に舞い上がっています。欲をいえば、アルテアのイラストがもうちょっと欲しかったんですけど、アルテアのイラストが、屋根の上で花火を、個人個人が椅子を出してみんなで見上げるイラストとか、いや、だからこそ4巻以降という希望も欲しいのですよ。どこに要望だせばいいですか。本当にお願いします。

 

 

8/13 読んだ本と「薬の魔物」感想メモ

薬の魔物以外の本をやっと読めました。といっても、携帯の充電が切れて、手持ちの本を読むしかなかったのですが、とても面白くて、一気読みしました。

聖女ヴィクトリアの逡巡 アウレスタ神殿物語 (角川文庫)

帝国の皇帝が突然皇子たちの目の前で自死し、その謎を解くべく、ヴィクトリアとアドラスは皇子に呼ばれることになるという今回の話。シリーズ第二弾。謎があまりに謎すぎる中でも、新たな皇帝を選ぶため継承選が行われ、始めはお互い反目しあっていた皇子皇女だったが、いわゆる閉ざされた特殊空間の中にあって最終的には仲良しになってしまったのが、何というか、とても物語的な落ち着きがあり、大変良かった。
新たなエピソードの始まりという雰囲気で、主人公たちの"敵"となりうる存在が明るみに出て、これからこやつと対決していくのでしょう。そして、個人的にはロディス皇子がかなり好きです。アドラスとの関係も良いコンビぶりで、この二人が組んだら中々最強なのでは思えた。1巻は単純にストーリーがとても好きだと思えたけど、2巻に入ると色々個性的なキャラが見えてきて、これからも楽しみなシリーズになりそうです。

そしてここからは「薬の魔物」感想メモです。

解雇理由が読み終わり、少し落ち着けるかなと思えたら何のその、結局次の日に失踪を読み、その後すぐに継続を読み始めました。無理でしたね。

始まりは穏やかで、やはり伴侶になった以上、そこまでの大事件はないのかと思っていたら、潜入捜査の話。なんと、ネアの記憶を自ら(魔物たちの手で)消しての潜入という、ここにきて安全かつ、何度も見てももおいしい”記憶喪失”イベント。もう百回くらいやって欲しい。異世界に来て、不安の中謎の教会に落とされて、歌乞いの説明をされる、そんなファンシーの中でも擬態したディノやアルテアに出会うのだけど、何度みても初対面シーンは良いですね。特にアルテアに関しては、毎回、こいつは悪人に違いないと警戒心ばりばりのネアが最高です。下着姿でアルテアの部屋に落とされたときも、さっとケープを羽織らせてもらい、もしかして優しい人かも戸惑うネアのあの心の動きが最高に良い。アルテアがネアを心配してるシーンもすごい好きなので、やはりネアには危険な目にあって欲しい。

現在、宝石の街の話あたりまで読みました。重要な話ではあるのだろうけど、対策がかなり盤石だったためそこまで命の危険はなく、次なる事件を期待してこれからものっそり読みたい。

 

8/6 「薬の魔物の解雇理由」読み終わりました。

薬の魔物の解雇理由」読み終わりました。

まだ、続きはあるとはいえ「解雇理由」は一旦終了としいうことで、まず一番に思ったのはこの素晴らしく面白かった物語をもう一度読み直したいという思いでした。

本当に面白かった。ここまで夢中になって読めた作品は本当に久しぶりで、こんな作品に今の自分が出会えたことが信じられないくらいです。しかも、とても長い。こんな私の理想のような作品が、世の中に隠れていたのなら、まだまだ名作がこの世にはあるのではと希望を持ってしまうくらいでした。

今、読みたてほやほやの中では思うことは、続きを読みたいことと、やっぱりもう一度読み返したいことと、いやいや、いい加減、他のこと、他の本のこともとそろそろと頭をもたげているところです。

そんな私の気持ちはさておき、少しくらいは作品についても。

まず、終わり方が、あまりに日常の延長上のような緩やかな終わりでとても驚きました。今までのことから、もっと何か特別な大きな出来事が起こり、それを解決して終わりかと思ったら、そこまでのことが起きるではなく、あくまで日常の中で、ネアとディノがとうとう結婚というか伴侶な関係になってみんなに祝福してもらい終わるという。余談ですが、伴侶な関係のアレ的なソレが大変詩的な文章だけで表現されているのが相変わらず作者様の素晴らしいところだなと思いました。とはいえ、謎的なものは残っているし、ここからどんな風にでも話が続きそうなので、実際続くわけだし、ここからどんな展開になるのか気になって、せめて「継続理由」の始めの方だけでも読まないと心が落ち着かないような気もします。

話戻り、再び作品について。感想メモで何回か言ってるように、アルテアがひたすら好きでした。初期は人に被害をもたらす冷酷で残虐な魔物として登場し、途中からネアを気に入って、気に入ってるからこそ殺しはしないが困らせたいその顔を歪ませたいといろいろ悪さをしてネアをも苦境に立たせる存在で、だからこそ、こちらが困らないようにと無理矢理”使い魔”という枠に押し込めることにして、だけれどネアは、その魔物の自由さ気に入っているところであり、手放したり、それならそれで執着されたり、最終的にはもう愛情を隠さなくなって、でもそんな色々があっても、根本的なところで、ネアにとってはディノが一番であって、アルテアもそこをわかっているからこそこの特殊な関係性がめちゃくちゃ好きでした。アルテアに関しては本当に一人で二度おいしいというか、初期の頃のネアに悪さをしていた時期のアルテアも大好きなんですよ。でも最終的に愛情深い一面を見せるようになった彼も好きなんよ。もう本気で好きで、私はこの世で一番好きなキャラクターというのがいて榎木津礼二郎ギルガメッシュというんですが、そこにこの度、このアルテアが加わったかもしれないです。

ところで、わりと私は、ネアがピンチになってぼろぼろになるのが大好きだと言っていたと思うのですが、最後の方だと、日常の延長上のような雰囲気で、やはり少し物足りないなと思ってしまいました。もちろんネアたち自身は、何事もなく日常を過ごせるのが一番なのだろうけど、何とか事件が起こって死ぬような目にあって欲しいななどと鬼畜な読者の一人として願ってしまいます。

最後の方は、駆け足で読んでしまい、感想も何も書けなかったんですが、これはひとえに感想を書くよりも続きが読みたい欲に私が勝てなかったそれに尽きるんですが、どうしたらいいんでしょうね。そして、何度も言いいたい。これは書籍化してくれるのでしょうか。アルテアの料理姿が見たいです(我欲の塊)。ネタバレ防止のためそこ界隈何一つ見てないのだけど、TOブックスさんにはぜひにぜひにお願いしたいです。

 

7/25~7/30 「薬の魔物」感想メモ

7/25~7/30 「薬の魔物の解雇理由」を読んだ感想メモ

もう少し何とかしたいなぁと思いつつ、今現在でさえ、それよりも続きが読みたいに頭が支配されていて、冷静になれないので、本当にただの感情メモです。

 

・工房中毒を治すところまで

まさかアルテアさんが、こんなにも健気系使い魔になるとは思いませんでした。ちょっと前まで、執着するつもりはないだの、暇つぶしで飽きたくないから決してただの便利な人にはならない(意訳)みたいに言ってたのは何だったのか。フラグだったのか。信じられないくらい愛情を隠さなくなってしまわれて、初期の頃の、ちょっと優しくしただけで図に乗るなよとばかりに、悪さをしていたあの頃の彼はどこにいってしまわれたのか。ダリル視点の独白で、"選択の魔物"であるアルテアがそんな"選択"をしたのだと語られた時、もう、ぐぐっと来てしまいました。でも、本音をいうと、私はネアがピンチに陥ったり恐い目にあったりするのが好きなので、アルテアがネアをあまり脅さなくなってしまうのは残念だったりもする。でも代わりに世界の運命力が頑張って(ネアを危険にして)くれるかな。

・アルテア料理回からの地下に落ちて列車に乗ってイヴに出会うあたり

毎回書いてる気がするけど、アルテアが料理している姿を見るのがとても好きだ。まじで、書籍が出てくれるかわからないけど、私はアルテアの料理姿のイラストが見たいです。お願いします。アルテアが作ったものをぽいとネアの口に入れたり、逆にネアがアルテアに食べさせたりするのみると幸せになる。またこれがメインヒーローではないことが個人的には良いのだ。恋愛じゃない男女の距離感でこれをやりあってるの見るのがとても私の性癖に刺さるし、ディノがこれを許してるというか無頓着なのが良い。この三人の関係性が本当に好き。海辺の家で、ネアが、老後はこうして三人で、みたいな想像をしてほっこりしていたが、私もとてもほっこりだった。そして、メインの話は次なる事件の布石の前兆みたいなお話でした。その絡みで、ちょっとだけ魔物なアルテアさんが見れたけど、ほんの少しだけでしたね。もう少し続けても良かったのよ。最後の方では、ネアが寝るときに寂しくなってディノをぎゅうぎゅうに抱きしめてしまったら、1時間ほどでくしゃくしゃになってしまったのでバトンタッチされた、とあったのですが、これはアルテアさんを抱きしめたということで宜しいんでしょうか。相変わらず、そこ重要な、なところをぼかしてしまうにくい作品です。

夏至祭、アルテアが呪われて呪いを解くところまで

アルテアがしんどい。もはや、アルテアの女の叫びでしかないかもしれないが勘弁して欲しい。アルテアは今まで残虐な魔物としてあらゆる人間や妖精やその他もろもろを暇つぶし等の理由で損なう側にいて、それに対して怨みや呪いをかってるわけなのだけど、アルテア自身が第三席でありつよつよな魔物なので何のその状態だったのですが、ここに来てネアという守るべき存在ができてしまったわけです。今回、自分に対する呪いが使い魔契約の繋がりによりネアに波及する恐れにより色々対策を練らなきゃならなくなって、そんな中で、ネアは犠牲になった見知らぬ誰かよりも今ある大切な目の前の魔物を助けたいと選んだその愛情の深さをアルテアはわかってるのだろうか。いや、わかってるよ。そういう記述はなくとも、「馬鹿だな、おまえ」の一言に全てがつまりすぎていて、もうそこら数十分くらい私はそのページから動けなかった。思えば、確かにアルテアというキャラは他と違い特殊なんですよね。他のキャラは、誰もが何かを失った者たちで、その悲しみをネアという存在が救ってくれたりもして親しくなっていくパターンが多かったのに対し、アルテアだけは、暇つぶしで、飽きない、いわゆる"おもしれー女"扱いでネアのまわりにちょろちょろしだして、それがいつの間にか大切な存在になっていく。アルテアは、今でも表面上ではわりとツンデレ状態で、本音を言うことがほぼないというか、肯定的な台詞を言わなし、使い魔契約の際も、おまえは事故るからなと、良く考えたら全く理由になってない理由で契約をするし、けれどネアとの間では何だか通じ合ってるような見えない繋がりが見えて、見てる側としてこれからどんな風になっていくのかとはらはらしながら眺めています。これはもう私の性癖なんですけど、いわゆる恋人ではない、特殊な繋がりのある男女の関係が本当にいいなって思います。

・海竜事件、コロッケ、水玉病のあたりまで

アルテアに狂ってから、どうしてもアルテア関連のことばかり思い出されてしまうのですが勘弁して下さい。海竜事件は事件的には大きな流れの一つだろうけど、時間がおかしいわけでも影絵に飛ばされたわけでもなく、常に仲間がいたのでそこまで緊迫感もなく個人的にゆったり読めてた感じです(ネア的には大変だったろうけど)。アルテアさんが来たときには私の心が大はしゃぎし、水玉病のときは、お医者さんなアルテアさんが最高だった。本当にこいつは何でも出来る。全身を隈なく見られ特に症状がひどかったお尻は念入りに確認された、なんてそんな文章ですますんじゃないよ、もっと詳細に書いて欲しいと、相変わらずの文章描写ににくさを感じた。

徐々に「解雇理由」の終わりが近づいてきました。シェダーさんの秘密は解雇理由の方で明かされるのかな。早く終わりまで読んでしまいたい欲と、終わって欲しくないという苦悶の気持ちが激しく葛藤している。

まだ先に、失踪と継続があるから何とか精神を抑えていられるんだけど、今の生活から「薬の魔物」がなくなってしまったらどうなるのか。でもずっとこのままではいられないし、作者の死を意識したくない。せめてTOブックスさんが書籍の続きを出してくれたら、少しは安定するかもしれない。本当に続きをお願いします。

 

7/18~7/22 「薬の魔物」感想メモ

7/18~7/22「薬の魔物の解雇理由」の感想メモです。

面白すぎて、楽しすぎて、続きが見たさ過ぎて、かなりすっ飛ばしてしまったのだけど、何とか落ち着けたので書きます。

 

・2回目のお誕生日会まで読み終わりました。

重要事件であった過去の影絵落とされ事件と闇の妖精に連れ去られ事件は感想メモを飛ばしてしまったのだけど、正直、面白すぎてメモってるどころではなかったのですよ。

”影絵”の呪いシステムは大変良いシステムだなぁと思ってしまった。過去というわけではないので時間系的な改変を全く気にせず、過去のキャラに出会えるというのはとても良い。ネアを知らないウィリアムさんに出会ったときのゾワゾワ感が最高でしたね。後、過去のアルテアさんは一体何をしに来たんだ。結局わからないままでそこは気になって仕方なかった。またこのシステムで過去のキャラに出会いたい。今が最高に幸せだからこそ、昔の荒んでいた時代のキャラを見るの本当に良い。

闇の妖精連れ去られ事件は、ネア自身はかなりごろごろされピンチだったはずなのに、最後の顛末があまりに悲しい終わり(皮肉かな)になってしまい、何となく、シリアスエピソードの最後がギャグ使用になるのはこの作品の特徴的な救いだったりするのかなとちょっと思ってしまいました。今回、アルテア(推し)の登場が少なかったので残念だなと思っていたら、途中、2秒だけネア前に現れてはちゅうするというエピソードにぴよっ!となってしまい思わず文章をスクショしてしまった。アルテア好き。本当に好き。

そして、今現在の最新はお誕生日会なのです。あまりに幸せでつらい。私は、こういうただただ幸せなエピソードは本来好きじゃないはずなのに、この作品に限っては本当に幸せになってしまう。料理に関しても本来料理ものは好きじゃないのに、もう、アルテアが料理作ってるだけで私は幸せです。アルテアの誕生日プレゼントが”土地の権利証”というのも、アルテアはネアをどうしたいんだと。来年は家をくれるそうだが、懐かれすぎるのは嫌だとかめんどくさい側面も持っていてこの関係性は来年はどうなるのかな。後、ノアは完全に家族になっていて本当に嬉しい。こんな関係性になるとは思わなかったね。

・統一戦争の悪夢の呪いに落ちた話まで読みました。

めちゃくちゃ良い話だった。こうやって感想メモを書くときは、いつも、そのエピソードを読み終えた後になるので、「すごい良い話だった」で終わってしまうのだけど、読んでる最中は、突然の過去の燃えた街に取り残され、それなりに命の危険があって、しかも実際死んで(生き返って)、過去のノアに会えたりで感情がジェットコースターだったんだけど、面白すぎて、立ち止まる余裕がない。そして、この話は絶対来ると思ってたのだけど、いざ来たらある意味過去のノアが救われる回だったので、本当にもう情緒が死にすぎて最高に良かった。あの時こうしておけばという絶望があった過去に、未来の幸せな自分が声をかけるなんて、誰もが思い描くイフなんだけど、それを作中でやってのけるのがこの作品のすごさな気がする。前も言ったけど、このシステム、過去だけど過去じゃないので時間改変的なことを考えなくていいというのが本当に良い。こんな感じでアルテアとディノ編をぜひにやって欲しいんだよ。いつかやってくれそうだけど。本当にいい話だった。読み直したいけど、それよりも続きも読みたい意識があって、これはまじでTOブックスさんにこれからも書籍化してもらいたいんで、本当に宜しくお願いします。

本音を言うと、もっと細かく書きたい気持ちはあるんだけど、読みながらメモを取るという感覚が私に備わってなくて、読んでる最中は完全にあっちの世界にいってるので難しいのですよね。それでも日ごと感想は書きたい。