空ゴト日和

本とゲームに埋もれた日々

7/23 読んだ本「世界の終わりのためのミステリ」

世界の終わりのためのミステリ (星海社 e-FICTIONS)

人類が消滅したと思しき世界で、カティスと呼ばれる人の記憶を搭載したヒューマノイドが続々と目覚め、旅をする話。主人公であるミチは自分の記憶がなく生きることに意味を見出せず死にたいと考え、かつて謎解きプレイヤーであったアミは、なぜ世界から人類がいなくなったのかその謎を解きたいと旅をしたいる。どのカティスも基本的にいい”人”ばかりで、作った人が余程上手く設計したんだなと、私なんかは穿った考えをしてしまうのだけど、人を傷つけず自分を傷つけることが出来ないとプログラムされたカティスたちは生きる意味を考えて悩み行動している。

ところで、この本と並行して森博嗣諦めの価値 」という本を読んでいたのだけど、そこで、”夢”とは叶えることが重要なのではなく、夢を叶えようとする過程こそが重要でそれが人を幸せにするのである。とあって、ミチとアミが旅をする過程、目的があるから旅ができるという最後のエピソードにとてもマッチしていて、なるほどなと思ってしまった。

思えば、私はが終わらない本が好きだったりするのもある意味ではこれと似たようなことでもある。とても面白い作品を読んでる時、先が知りたい、でも終わって欲しくない、この過程をもっと続けて見ていたいと。終わってしまえば、また新しい面白い本(自分が夢中になれる何か)を探さなければならない。本を読むという行為は結果ではなく経過こそを楽しんでいるそのものの媒体なんだなと。

話を戻そう。世界の終わり~というタイトルだけど、正確には人類が存在しないだけで、別に世界は終わっていない。動物も微生物も生き物はなぜかそのままで建物もそのまま残っているらしい。そんな中で人だけがいないのは不自然で、作中で冗談のように宇宙人に襲撃されて人類だけ殺されたのではとの台詞があったが、これは外側にいる私から見るとあまりに妥当な答えのように思える。結局答えはわからないままなので好き勝手言うと、あまりに管理された状態なので、彼らより高次の存在がいてここは箱庭の世界なのではと思ってしまう。答えがわかるにしろわからないにせよ、彼ら二人の旅の続きは知りたい。

世界の終わりのためのミステリ (星海社 e-FICTIONS)