空ゴト日和

本とゲームに埋もれた日々

4/11 「薬の魔物」回顧録メモ(481)

こちらは「薬の魔物の解雇理由」再読感想メモです。シリーズ最後までネタバレがありますのでご注意下さい。

(481)

嵐の妖精と通り雨の魔物の話。この話もすごい好き。
リーエンベルクのお庭を歩いていたら、突如見知らぬ森に飛ばされたネア。この頃から、胸元にムグリスディノがいるのに寝ているので疑似的に一人だという状況がよく出てくるのだけど、本当に上手い事設定考えたなと思う。魔物たちはネアを絶対一人にはしないから事件に巻き込まれるのはすごく大変な事件になってしまいがちだけど、ムグリスディノ爆誕のおかけで、ちょっとした不思議現象&事件に対してもネアが遭遇できるようになった。今回も、多分一人ならもっと心細いはずだけど、胸元にディノがいるので大らかな気持ちで、嵐の妖精さんとほっこり交流ができたわけで、ここのやり取り、ネアが無自覚に妖精籠絡してて最高だった。
嵐の妖精が通り雨に、村が大変なので雨を弱めるように指摘したことによる争いが勃発したわけだけど、こういうところ、魔物や妖精、精霊たちが世界の基盤に繋がっていて、私たちの世界による”神”という認識に近いんだよなと思う。
最後、ウィリアムさんが登場して二人は慄いて退場していくけど、そんなウィリアムさんは死者の王だし、ずっとムグリスとして寝ていたディノは世界の万象の理を司る魔物なんですよ。

[見た目メモ]嵐の妖精ザシャ…黒の羽、青い瞳、濃紺の髪、左右非対称のボブカット、斜めの前髪が格好いい。
通り雨の魔物ラジエル…漆黒の神父服、銀縁の眼鏡、灰混じりの青い瞳、”白みがかった青い髪は短い、雨の日に曇った窓硝子のよう”←表現力の暴力かよというくらい美しい形容。
桜瀬さんの描く情景だったり造形だったりは表現が本当に美しくて、ちょっとメモをしようとして、こんなに美しい表現を簡易意訳していいのかという気分になってしまう。例えば、ザシャは”じわっと滲み出るような青い瞳”で、ラジエルは、”鋭利な灰混じりの青い瞳は鋼のよう”と、同じ青い瞳でも別もの。桜瀬さんの文章は、実質的な絵ではなく受ける印象を重視して表現しているため、視覚的なイメージは寧ろぼんやりしている。

なので、くすまもは実は人によってメージする姿は大分違う気がして、改めて絵になると大丈夫?と思うことがある。私は書籍から入ったくせに、実はヒルドとゼノのイメージは違ったし、今からノアベルトがどうなるか怖いんだよ。私の中でノアベルトが出来上がりすぎててもう訂正できない。まあもし違っても、これは絵師さんのイメージするノアであって私とは違うと思えばいいかぁとは思っている。