空ゴト日和

本とゲームに埋もれた日々

12/27 読んだ本「魔導の福音」

本を読み切らないとブログに手を付けられないみたいな気持ちで、久々の更新になってしまった。色々並行して読んでいるせいなのだけど、やっと一冊読み切れた。京極さんの「鵼の碑」も何とか年末までには読み切りたい。

魔導の福音 〈真理の織り手〉シリーズ (創元推理文庫)

ちょっと前から読んでいたのだけど、やっと読み終わった。
時間はかかったものの、面白かった。
正直、1巻は微妙だったというか、凄惨なシーンが多くて陰鬱な気分になることが多かった上に、最後も全てを捨てて一欠片の希望を胸に旅立つものの道のりは険しい、みたいな終わり方に見えて、個人的にはハッピーエンドとは言い難いものだったのだけれど、2巻目は、色々あったものの、最後は爽やかに終われた印象があり読後感も良い。
これは、多分主人公の立ち位置が貴族としてしっかりあって、かつ大切な人達が生きていることに起因するのだろうなと思う。本質的に、人は、自分にとって近しいほんの少しの人たちが幸せならそれで幸せなのだと思う。

今回の話は、前回の、差別されている魔導士たちが地位をどうにかしようと国に反旗を翻すというような大掛かりな話にはならず、ひたすら個人的な話に終始していた気がする。魔導の力を持つものが処分される国で、妹が魔物棲みとして処分され、それを助けようとしなかった自分の弱さに後悔しながらも、王都では楽しく過ごし、いざ妹が生きていたと知ると、このことが知れたら自分は破滅だという思いが先に来る主人公の弱さが前面に出て、それでも自分がどうしたいかと考えながら答えを出していく。世界を変えようではなく、まず自分がどうしたいかと考える話が、私は多分好きなんだ。

このシリーズは、最新刊である過去編の話を一番先に読んで、それが面白かったので溯って読みだしたのだけど、シリーズ1巻目があまりに悲劇的で、読んだのを後悔しかけたところだったのだけど、2巻目はわりと楽しく読めて近づいてるぞという気持ちになった。最新刊のハッピーな終わり方こそがこの作者様の最新仕様と考えて良いのだよね。個人的に、絶対ハッピーエンド信仰な人間なので、何とかみんな幸せになって欲しい。

ところで、この表紙が誰なのかずっと気になっているのだけど、カレンスとアニエスでいいのかな。アニエスはひたすらかっこ良かったね。